仮想通貨で損失(赤字)が出た場合の税金は?

仮想通貨で損失(赤字)が出た場合の税金は?

仮想通貨の認知度が高まり、多くの人がその恩恵を受けています。

しかしながら、中には、利益が出ずに赤字になってしまったという人もいるでしょう。

複数の仮想通貨を扱っていれば、ある通貨では大きな利益を得ながら、他の通貨で損失が発生したということもあります。

ご存知の通り仮想通貨の取引で利益がでると、税金を納めなければなりませんが、損失が出た場合には、どのように申告をすればよいのでしょうか?

今回は、仮想通貨で損失(赤字)が出た時の税金について調べてみました。

仮想通貨利益に対する税金は雑所得

仮想通貨利益に対する税金は雑所得

仮想通貨の取引において利益がでると、その利益に対して税金が課せられ、その税区分は「雑所得」か「事業所得」となります。

例えばサラリーマンのように生計のためには本業を持ち、その傍ら、仮想通貨取引を行っているようなケースではほとんどの場合「雑所得」となります。

もしも、仮想通貨取引を事業として行なっている場合は「事業所得」となります。

仮想通貨取引は副業として行う人がほとんどかと思いますので、ここでは雑所得について取り上げてみます。
 

利益に対して所得税と住民税が課税

どのような所得でも、利益が出た場合は所得税と住民税がかかります。

雑所得の場合は、雑所得全体の利益が20万円以上となった場合に、申告による課税が義務付けられています。

雑所得に所得税を課税する場合の税率は、給与所得なども含めた総所得額(控除後)の大きさによって変わる「累進課税制度」によって決まります。

住民税については、控除後の総所得額に対して一律10%と決まっています。

総合課税で累進課税方式

仮想通貨取引の課税区分は雑所得ですが、これは「総合課税かつ累進課税方式」として扱われます。

「総合課税」とは、「給与所得などその他の所得と合算した金額を使って税額計算する」ものです。給与所得、雑所得など全ての所得の合計額を総所得額と言います。

累進課税方式とは、所得金額が上がれば上がるほど、掛けられる税率が高くなるという方式です。

ある一定の金額を超えると税率が上がるようになっていますので、仮想通貨での利益を合算することで、給与所得のみの金額が属する税率区分を超えることがあります。

そうなると税率が上がり、予想以上の税金が課せられるという事態が発生する可能性があります。

実際に、累進課税方式の最高税率は45%、それに住民税の10%が加わると、なんと55%、半分以上が税金で持っていかれるということになってしまうわけです。

全ての所得の合算なら、マイナス分も相殺されるのか?

全ての所得の合算なら、マイナス分も相殺されるのか?

総所得額は、給与所得、雑所得など全ての所得の合算ということがわかりました。

全ての所得の合計額で計算するのであれば、

「損失(赤字)が出た時には、ほかの所得額からその分をマイナスして申告できるだろう」

そう考えたいところですね。

しかし残念ながら、仮想通貨取引で損失が出ても、そのマイナス分を他の所得と相殺することはできないルールです。

仮想通貨で得た所得は雑所得となりますが、損失分に関してはマイナス申告とはならず「所得がゼロ」という考え方のもと、申告します。

雑所得とその他の税区分所得とは、損益通算できない

上記のように、仮想通貨取引で損失が出た場合、雑所得としては「所得ゼロ」ということになり、その他の所得との「損益通算はできない」ことになっています。

例を挙げて考えてみると、
給与所得500万円、仮想通貨取引で100万円の損失の場合、雑所得は「ゼロ円」として計算されます。

 総所得額 ≠ 500万円-100万円
 総所得額 = 500万円+所得ゼロ円 =500万円
 

このように、仮想通貨取引で利益を得るとしっかり税金を取られますが、その損失に対してはあまり考慮されることがないようです。

現在の仮想通貨に対する税制はかなり厳しいと言わざるを得ません。

雑所得内での合算は可能

雑所得には、仮想通貨取引による利益だけでなく、その他原稿料や講演料などの副業による収入なども含まれます。雑所得に該当するその他の所得があるときは、その利益を全て合算して申告する必要があります。

 雑所得額 = 仮想通貨取引による利益 + その他副業による利益
 
この時、もし仮想通貨取引で損失が出ていたらどうなるでしょうか?

実は、雑所得内であれは、所得の利益と損失を内部通算することができます。

もし、仮想通貨でマイナス100万円の損失が出ていて、その他の副業で150万円の利益があれば、雑所得としての申告額は50万円ですみます。

仮想通貨取引での損失分は、給与所得などその他の所得とは損益通算できないと前述しましたが、「雑所得内での内部通算」は可能ということを覚えておきましょう。

損失分の繰り越し

損失分の繰り越し

雑所得内での損益の通算は可能ということがわかりましたが、実は損失分の繰り越しは認められていません。

例えば「今年100万円の利益があった、昨年50万円の損失があり申告をしていない、双方をプラスマイナスして今年課税される対象金額を減らしたい」ということはできないのです。

仮想通貨取引で考えてみましょう。

昨年1BTCを100万円で購入
   ⇓
BTCが50万円に値下がりした
   ⇓
BTC50万円でETHを購入・・・①50万円の損失 
   ⇓
今年に入ってEHTが150万円に値上がりしたので日本円に変換・・・②100万円の利益

 
雑所得が仮想通貨所得のみとして考えると、

上記①では、50万円の損失ですので雑所得ゼロ、申告の必要がありません。

翌年、②では、100万円の利益に対して課税されます。

ここで、昨年の損失分50万円を当年に繰り越し、「昨年50万円の損失分は申告していないので、プラスマイナスしたい」と言っても認められません。

これがもし、上記の利益と損失が同年一年間のうちに発生したならば話は別です。

当年内で発生した損益であれば、マイナス50万円プラス100万円として相殺され、課税対象額は50万円のみとなります。

少しややこしくなりましたが、つまり、

「仮想通貨で損失が出た場合、その損失分は、その年の雑所得内でしか損益通算することができない」

ということになります。

当年に利益がなく損失だけであれば、利益ゼロとしての申告となり、翌年に繰り越して相殺することはできません。

まとめ

まとめ

仮想通貨取引で利益が出ると、確定申告により納税しなければなりません。

仮想通貨に対する税制は厳しいものがあり、利益分に対してはきっちり税金がかかりますし、所得総額によってはかなり高い税金が課せられる可能性もあります。

ところが、損失分に対してはあまり考慮されていません。

  • 損益通算ができない
  • 損失分の繰り越しはできない

この2点が、仮想通貨での損失に対する大きな痛手です。

仮想通貨での利益は雑所得となりますが、この雑所得は、給与所得などのほかの所得と相殺することができないルールとなっています。

仮想通貨で損失が出ても、それはあくまでも「利益がゼロだった」という考え方となります。そのため、給与所得から損失分をマイナスして申告するということはできません。

しかし、雑所得内で利益と損失が発生した場合には、内部通算が可能となっています。

例えば複数の仮想通貨取引を行い、一つで利益、もう一つで損失が出た場合、双方を相殺して申告することができます。

ただし、損失分の繰り越しはできません。損失分の損益通算は、当年のみということです。

仮想通貨はその歴史自体が短く発展途上、税制や法律もまだまだ整備されていない部分があります。

これからもどんどん変更される可能性が高いので、常にアンテナを張り新しい情報を取り入れていく必要があります。