世界中で話題となっている仮想通貨。
日本でも、サラリーマンから学生、主婦まで、その利用者の数はうなぎのぼりといわれています。
2017年には価格高騰により億単位の収入を得たという話もありました。
しかし、仮想通貨取引で得た利益はそのまま手元に残るわけではありません。
大きな利益に喜ぶのもつかの間、一部は税金として消えていきます。
仮想通貨の高い税金、果たして何パーセントが取られてしまうのか?解説していきます。
目次
仮想通貨にかかる税金は総合課税

仮想通貨取引で利益を得るとその利益は所得となり、所得税の対象となります。
所得税はその内容により10種類に分類されていますが、仮想通貨利益による所得はその中の雑所得に分類され、総合課税の対象となっています。
総合課税とは、一旦分類した所得の金額をひとまとめにして税額を計算するものです。
例えば、サラリーマンが副業として仮想通貨取引を行っている場合、お給料である給与所得と仮想通貨による所得を合算し、その金額を基準に税率が決まり、税金額が計算されます。
この時使われる税率は、累進課税方式です。一定の所得額を超えると税率が上がる仕組みで、所得額が多ければ多いほど税率が上がります。
最高税率は45%という高く設定されていますので、所得が多い人はその約半分が税金という云われとなっています。仮想通貨の税金が高すぎる!といわれる原因もここにあります。
例えば、今までの収入が給与所得500万円のみであったところ、今年仮想通貨の価格高騰で一気に5000万円の利益を得たとしましょう。
課税対象額は合計の5500万円です。
下の表を見るとわかるように、5500万円の税率は最高の45%です。
所得税額=(500万円+5000万円)×45%-479万6千円(控除額)=1995万4千円
仮想通貨で5000万円の利益を出しても、2000万円近くが所得税として消えていくわけです。
実際にはこれに住民税約10%も課税されますので、手元に残るお金は約半分という悲しい結果となっています。
「仮想通貨の税金が高すぎる」という声にも納得ができるのではないでしょうか。
利益が出たと浮かれて、真っ先に家や高価な車を購入したり浪費を続けていると、後に残った税金の支払が困難という状況に陥る可能性がありますので、十分な注意が必要です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超え | 45% | 4,796,000円 |
仮想通貨の利益とは?

仮想通貨に係る所得税の申告は、当月一年分を翌月2月から3月の間に確定申告で行います。確定申告を行うためには、一年間にどれだけの利益が出たかを自分で把握しておかなくてはなりません。
仮想通貨の利益の確定は、日本円に換金したときはもちろんですが、その他にも見落としがちなタイミングがありますので注意が必要です。
利益確定のタイミングは以下です。
手持ちの仮想通貨を日本円に変換したとき
手持ちの仮想通貨を日本円に換金したとき、購入時よりも値上がりしていればその値上がり分が利益となります。
手持ちの仮想通貨が値上がりし、別の仮想通貨に交換したとき
手持ちの仮想通貨を別の仮想通貨に交換したときには、その手持ちの仮想通貨を売却したものとして考えます。
100万円で購入した仮想通貨が120万円に値上がりしたときに、全てを別の仮想通貨に交換すると、その時点で20万円の利益が確定されます。
手持ちの仮想通貨を使って決済を行ったとき
仮想通貨で物を購入するなど決済を行った時も、決済した時点のレートで利益計算を行います。
100万円で購入した仮想通貨が120万円に値上がりしたときに、120万円の買い物をして決済をすると、値上げ分20万円の利益を得たことになります。
直接的に日本円に換金はしていなくても、一旦日本円に換金してから購入をしたという考え方となります。盲点となりやすいので注意が必要です。
マイ二ングで仮想通貨を得たとき
マイニングで仮想通貨を得たとき、その取得時点で利益が発生しています。
必要経費を差し引くことができますので、取得した仮想通貨の時価-必要経費=利益額となります。
このように、保有する仮想通貨が何らかの動きを見せる度に利益が発生する可能性があります。
一年の終わりに、思ったより利益が出ていた=税金が増える!という結果に慌てないよう、知識を深めておく必用があります。
雑所得の損益通算

仮想通貨に係る税金は、雑所得に区分されることは前述しました。
雑所得の利益は、他の所得金額と合算して税額計算が行われます。
例えば、給与所得500万円のサラリーマンが仮想通貨取引を副業として始め、500万円の利益をあげたとすると、
総所得額=給与所得500万円+雑所得500万円=1000万円
となり、1000万円に対応する税率が適用され、納税額が決まってきます。
そうなると、「仮想通貨取引で損失が出た時にも、給与所得とプラスマイナスを相殺することができるのは?」と思いますよね?
しかし、実際はそううまくはいきません。
「雑所得は、他区分の所得との損益通算はできない」
という決まりになっているからです。
雑所得では、マイナス分は切り捨てとなるので、仮想通貨取引で損失があっても「雑所得としての利益がなかった」という位置づけとなり、「所得ゼロ円」で申告することになります。
例を挙げて考えてみると、
総所得額 ≠ 500万円―100万円
総所得額 = 500万円+雑所得ゼロ円 = 500万円
それでも少しでも節税したい!

現在の仮想通貨に係る税制は、特に大きな利益を得た人にとってはかなり不利な税制となっていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
それでも、少しでも節税する方法はないのか!?と思う人も多いはず。
多少でも節税効果が見込める方法として、「雑所得内での内部通算」があります。
雑所得は、仮想通貨による利益のほか、公的年金、アフェリエイト収入、インターネットオークション売金、原稿料など、他の所得区分に当てはまらないものが対象となっています。
これらの雑所得内のそれぞれの所得額は、内部通算が可能です。
例えば、インターネットオークションで利益があり、仮想通貨取引で損失が発生した場合、双方のプラスマイナスを相殺して申告することができます。
複数の仮想通貨取引についても同様です。
2種類の仮想通貨取引において、一方が利益を上げ、もう一方が損失を発生していた場合、両者のプラスマイナスを相殺した金額で申告できるわけです。
これにより多少の節税が可能となります。
まとめ

仮想通貨取引は新しいビジネスであり、税制に関してもまだまだ発展途上の状態です。
利益の大きさに伴い税額も高額になる可能性があり、大きな利益を上げた人にとっては大変厳しい税制となっています。
場合によっては税金の支払いが困難という状況に陥ることもありますので、仮想通貨取引を始める前に、税金のしくみについてもよく理解を深めておくことをお勧めします。