仮想通貨で儲かると税金の扶養控除から外れちゃうの?

仮想通貨取引は誰でも始めることができ、サラリーマンから主婦、学生に至るまで多くの人が行っています。

仮想通貨の利益に関しては税金がかかることは知られていますが、税法上の被扶養者となっている人は、その利益額により被扶養者としての枠から外れてしまう恐れがあります。

今回は、仮想通貨で儲けた時の扶養控除について、解説していきます。

所得税法上の扶養家族とは?

所得税法上の扶養家族とは?

税法扶養、税法上の扶養家族という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

親の扶養に入る、子の扶養に入るなどという言い方もしますが、これは、収入が少なく主に経済面で家族に助けてもらう必要のある人を指しており、当人を税法上の「被扶養者」と呼びます。

この税法上の扶養家族を持つ人を「扶養者」と呼び、扶養者は被扶養者の人数に応じて「扶養控除」と呼ばれる所得控除を受けることができ、税金の負担を軽くすることができるという制度です。

つまり税法扶養は、被扶養者本人ではなく、扶養者のための優遇制度なのです。

例えば高校生、大学生の子供を扶養している親は、この条件に当てはまります。

扶養控除の対象となるための条件

扶養控除の対象となるための条件

扶養控除の対象となる人の条件は、厳密に定められています。税法上の被扶養者であるための要件は以下です。

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)などで、年齢が16歳以上
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと

仮想通貨と扶養控除

仮想通貨と扶養控除

さて、大学生など学生の間でも仮想通貨取引を行う人は多いようですが、仮想通貨取引と税金、そして扶養控除の関係は切っても切り離せません。

大学生など親の扶養家族となっている人が仮想通貨で利益を上げると、その利益額によっては、親、本人とも税金の負担が増える可能性があるからです。 

被扶養者のポイント

 
「扶養控除」は、「収入の少ない人が家族内にいる人」のための控除です。被扶養者となるための大事なポイントはこれです。

【年間の合計所得金額が38万円以下】

仮想通貨利益だけが収入ならその利益がまるまる合計所得金額

「合計所得金額」とは、給与所得、雑所得、事業所得、不動産所得など各種所得を合算した金額です。

仮想通貨の利益は雑所得に分類されます。

収入が仮想通貨の利益のみという場合は、仮想通貨の利益額がそのまま合計所得金額となります。

つまり、仮想通貨の利益だけが収入の人が税法上の被扶養者でいるためには、仮想通貨の利益を38万円以内に収める必要があります。

ちなみに、納税義務について言うと、合計所得金額から基礎控除の38万円を控除した金額が課税対象金額となります。

基礎控除とは要件なく納税者全員が対象となる控除です。税金を払いたいたくない時には、仮想通貨の利益を38万円以下に納める必要があります。

合計所得金額が38万円であれば、基礎控除により38万円が控除され、課税対象金額がゼロとなるためです。
 

まとめると以下のようになります。

①仮想通貨で38万円の利益を出したとき

「合計所得金額=38万円」⇒合計所得金額が38万円のため、被扶養者の要件を満たす
「合計所得金額38万円-基礎控除38万円=ゼロ円」⇒納税義務はなし

②仮想通貨で50万円の利益を出したとき

「合計所得金額=50万円」⇒合計所得金額が38万円を超えるため、被扶養者の枠から外れる
「合計所得金額50万円-基礎控除38万円=12万円」⇒12万円に対して納税義務が発生

アルバイトの給与所得がある人は?

アルバイトの給与所得がある人は?

学生で、アルバイトをしながら仮想通貨取引も行うという多忙な人もいるでしょう。

基本的に税法上被扶養者であるためには、「年間の所得金額が38万円以下」ということに変わりはありません。

そのため、給与所得と雑所得である仮想通貨利益の合算が38万円以下である必要があります。

ただ、ここでいう「給与所得」とはアルバイト代の支払総額とは異なります。

アルバイト代やサラリーマンの給料など、給与収入に関しては、勤務に係る必要経費として「給与所得控除」が設けられています。

給与として支払われた金額は「給与の収入」といい、その給与の収入額から給与所得控除をした金額を「給与所得」と言います。

給与所得控除の金額は収入によって変わりますが、アルバイトやパートレベルの収入額として考えると65万円が一般的です。
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

少々混乱しがちなのですが、基礎控除や医療控除など、「給与所得控除以外の所得控除」は、給与所得、雑所得、不動産所得などの所得を合算した合計所得金額から控除されます。

しかし、給与控除に限っては、給与収入から単独で控除されるものです。

順を追って整理すると、

①給与の収入金額-給与所得控除=給与所得金額
②給与所得金額+仮想通貨利益(雑所得)などその他の所得金額=合計所得金額
③合計所得金額-各種所得控除(基礎控除など)=課税対象額

となります。

さて、被扶養者であるためには、「合計所得金額が38万円以下」である必要があります。

つまり、給与所得金額と仮想通貨利益の合計が38万円以下です。

ここで、いくつかのパターンを考えてみましょう。

①アルバイト代が65万円、仮想通貨利益が20万円の場合

合計所得金額=(65万円-給与控除65万円)+20万円=20万円
⇒合計所得金額が38万円以下のため、被扶養者の枠に収まる
⇒合計所得金額が38万円以下のため課税対象額ゼロで、本人の納税義務なし

②アルバイト代90万円、仮想通貨利益が10万円の場合

合計所得金額=(90万円-給与控除65万円)+10万円=35万円
⇒合計所得金額が38万円以下のため、被扶養者の枠に収まる
⇒合計所得金額が38万円以下のため課税対象額ゼロで、本人の納税義務なし

③アルバイト代が103万円、仮想通貨利益が0円の場合

合計所得金額=(103万円-給与所得控除65万円)+0円=38万円
⇒合計所得金額が38万円以下のため、被扶養者の枠に収まる
⇒合計所得金額が38万円以下のため課税対象額ゼロで、本人の納税義務なし

④アルバイト代65万円、仮想通貨利益38万円の場合

合計所得金額=(65万円-給与控除65万円)+38万円=38万円
⇒合計所得金額が38万円以下のため、被扶養者の枠に収まる
⇒合計所得金額38万円以下のため課税対象額ゼロで、本人の納税義務なし

⑤アルバイト代103万円、仮想通貨利益10万円の場合

合計所得金額=(103万円-給与控除65万円)+10万円=48万円
⇒合計所得金額が38万円を超えるため、被扶養者の枠から外れる
⇒合計所得金額が38万円を超えるため、超えた分10万円が課税対象となり納税義務発生

⑤アルバイト代65万円、仮想通貨利益50万円の場合

合計所得金額=(65万円-給与控除65万円)+50万円=50万円
⇒合計所得金額が38万円を超えるため、被扶養者の枠から外れる
⇒合計所得金額が38万円を超えるため、超えた分12万円が課税対象となり納税義務発生

親など扶養者の税負担

親など扶養者の税負担

収入が仮想通貨利益だけの場合も、アルバイトなど給与収入がある場合も、収入金額によっては税法上の被扶養者でいられなくなる可能性があります。

税法上の被扶養者の枠に収まらなくなると、現実的に影響を受ける人は本人ではなく「扶養者」です。

これまで収入の少ない家族を助けるという意味で受けていた扶養控除の適用外となるからです。

扶養控除の適用外となることで納税額が増える可能性が高いです。扶養者の納税額がどの程度上がるのかはそれぞれの収入によりますが、いくらにしても扶養者にとっては突然の予想外の出費となることは間違いありません。

被扶養者の立場で利益が大きくなりそうなときには、予め話をしておくとよいでしょう。

まとめ

まとめ

仮想通貨の利益と税金の扶養控除について解説しました。

仮想通貨は誰でも始めることができ大きな利益を上げる人も少なくありません。

利益が出ることは良いことなのですが、その後の税金対策と合わせて、学生など税法上被扶養者となっている人は、税制について理解をっ深めておく必要があります。

うっかりすると自分が税金を払うだけでなく、扶養者側にも迷惑をかけることになりがちです。