仮想通貨の税金でよく耳にする雑所得って何?

仮想通貨の利益には税金がかかることはよく知られており、その中で話題になる言葉が「雑所得」です。

雑所得とは、所得税法上の所得区分のひとつなのですが、実はこの雑所得、かなりの曲者。億り人をも悩ませる雑所得とは何か?調べてみました。

仮想通貨の利益は立派な所得

仮想通貨の利益は立派な所得

あらゆる収入につきものの所得税ですが、仮想通貨取引で得た利益も所得として税金の対象となります。

2017年、国税庁により「仮想通貨取引による利益は「雑所得」に分類されると発表されました。

仮想通貨の利益は雑所得として所得税が課税されるということですが、これはどのような意味を持つのでしょうか?

投資家の中には「雑所得」であることを聞いて落胆した人も多いかもしれません。

所得税の分類

所得税の分類

雑所得とは、収入の内容によって分類される所得税区分の一つです。

この区分は、給与所得、不動産所得、利子所得、配当所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、事業所得、一時所得、そして「雑所得」の10種類あります。雑所得は、その他の9種類の区分に当てはまらないものが分類されます。

所得税は総合課税が原則

所得税は総合課税が原則

さて、仮想通貨の税金をテーマとしたとき、「雑所得」に加え「総合課税」も大きなポイントです。実は、所得税は総合課税が原則です。

総合課税とは、上記のようにその内容によって10種類に分類されながらも、全ての金額をひとまとめにして課税するというものです。ひとまとめにした合計所得金額が大きくなるほど税率が上がる累進課税率が適用されます。

仮想通貨取引による利益が分類される雑所得も、総合課税です。そのため、仮想通貨の利益は、給与所得などその他の所得額と合算して課税対象額が算定されます。

例えば、給与所得があり副業で仮想通貨取引を行っている人は、「給与所得額+仮想通貨の利益額」の合計額により税率が確定します。

したがって、仮想通貨利益を加算することで給与所得だけが収入であった時よりも、適用となる税率が上がったという事態が発生します。

総合課税の対象にならない所得もあり

総合課税の対象にならない所得もあり

所得税は総合課税が原則ではありますが、内容により総合課税の対象とはならないものがあります。

退職所得、山林所得、土地・建物などの譲渡所得、株式等の譲渡所得、銀行預金などの利子所得、一定の先物取引による雑所得などです。

これらは、その所得金額が大きくなることがみこまれ、総合課税とすると税率が一気に上がる可能性があることから、それぞれ分離して課税する分離課税としています。

この中で、支払いと同時に源泉徴収されるものが源泉分離課税、後に確定申告にて申告納税をするものが申告分離課税です。

退職所得や銀行預金の利子所得などは源泉分離課税です。FXは先物取引に係る雑所得等として申告分離課税の対象となっています。

総合課税の税率は?

総合課税の税率は?

総合課税となる雑所得は、冒頭で触れたようにその他の所得とひとまとめにして税金が計算されます。

税金計算の際のポイントが、「税率」です。

総合課税として計算を行う時の税率は、累進課税方式が採用されています。これは、所得金額が大きいほどその税率が上がる仕組みで、収入が多い人にとっては厳しい税制といわれています。

税率が変わるラインが決められており、一定の収入額を一円でも超えるとグッと税率が上がるようになっています。

累進課税方式での税率は以下です。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超え 45% 4,796,000円

所得税の最高税率は45%

所得税の最高税率は45%

上記の表を見てもわかる通り、所得金額が4000万円を超えると税率は45%です。

また、所得のある人はその所得額にかかわらず住民税の納税義務も発生しますが、その税率は一律10%です。所得が4000万円を超える人は、所得税、住民税合計で55%が税金となるのです。

例① 収入が給与所得500万円のみのサラリーマンの場合
給与所得5,000,000円×20%-控除額42,500円=572,500円
例② 給与所得500万円のほか、仮想通貨利益500万円の利益を得た場合
(給与所得500万円+雑所得500万円)×33%-控除額1,536,000円=1,764,000円
⇒所得が500万円増えましたが、所得税も120万円近く増加しています。これに、住民税約100万円が加算されます。
例③ 給与所得500万円のほか、仮想通貨利益1億円の利益を得た場合
(給与所得500万円+雑所得1億円)×税率45%-控除額4,796,000円=42,454,000円
⇒1億500万円のうち、約4250万円が所得税、さらに住民税約1000万円が加算され、 所得の半分以上が税金となります。

雑所得は高所得者に不利

雑所得は高所得者に不利

このように、仮想通貨の利益が雑所得に分類されたことは、利益額が大きい人にとって大変不利な状況を招きました。

もし仮に、仮想通貨の利益が「申告分離課税」として認められたとしたら、その税率は「所得税15%、住民税5%、合計20%」です。

これは、所得金額にかかわらず一律ですので、雑所得での最高税率55%と比較すると、とてつもなく大きな差と言えます。仮想通貨で億単位の利益を上げた人もいるようですが、こういった高額所得者にとって、「雑所得」は悩みの種となっています。

雑所得の弱点はもう一つあります。それは、「他の所得と損益通算ができない」ことです。

仮想通貨はご存知の通りハイリスクハイリターン、価格の変動が激しい取引です。そのため、損益が出てもおかしくありません。

雑所得では、総合課税として給与所得などのその他の所得金額と合算して税金が計算されます。となると、「損失分も相殺してよいのでは?」と考えたくなります。ところが、雑所得で発生した損失については合算することができないのです。

仮想通貨取引で損失が発生したとき、雑所得内に別の所得があれば、雑所得の中では相殺は可能です。例えば、一つの仮想通貨取引で利益発生、もう一つの仮想通貨で損失が発生していた場合、双方のプラスマイナスを相殺して計上することは可能です。

しかし、雑所得の金額としてマイナスが出てしまった時には、その他の所得金額から差し引くということはできません。この場合、マイナス分は切り捨てとし、あくまでも「雑所得はゼロ円」という形で計上します。もちろん、翌年以降への持越しもできません。

同じ投資でも、FXは申告分離課税が認められており、税率は一律20%です。さらに、損失が発生した年には確定申告で繰越控除を受けることにより、当年の損失分を翌年以降3年間繰越し、利益と相殺することができます。

このようなことが、雑所得は特に高所得者にとって不利な税制といわれる所以です。

少しでも有利に運ぶために

少しでも有利に運ぶために

雑所得は不利な税制といわれますが、これが現在の状況で残念ながら法律に従うしかありません。

かのFXも、元は雑所得からスタートしたという経緯がありますので、今後税制が変わる可能性は十分にあります。

現在できることは、誠実に確定申告を行い申告ミスによる後々のトラブルを回避することです。仮想通貨の動きについては国税庁も目を光らせているからです。

また、安定した仮想通貨取引を行っておりある程度まとまった利益があるという人は、個人事業主として開業し、青色申告を行うという方法があります。

個人事業主の開業とは、法人化とは異なります。税法上、株式会社など法人を設立せずに個人で営む事業のことを指しています。

個人事業の開業は、税務署に開業届を提出するだけで可能です。個人事業主としては白色申告、青色申告が選べますが、より節税効果が見込めるものが青色申告です。

青色申告を行うためには、事前に税務署へ申請書を提出する必要があります。また、複式簿記による正しい帳簿付けや領収書の提出が義務となっています。これにより、以下の特典が受けられ、節税が可能となります。

①青色申告特別控除最高65万円
②赤字の繰り越し可能(3年間)
③家族への給与を経費として計上できる

この青色申告特別控除65万円の効力は大きく、多くの個人事業主が節税のために青色申告を選択しています。

「節税するほど収入が多くない」「複式簿記による帳簿付けはしたくない」「家族へ支払う給料もない」などという人は、簡単な帳簿付けだけでOKの白色申告が多いようです。

まとめ

まとめ

仮想通貨の税金を語るとき、「雑所得」という言葉が大きなネックとなっています。

雑所得とは、所得税法の所得区分の一つです。仮想通貨の利益が雑所得に分類されることで、高所得者は最高55%という高い税率に悩まされています。

しかし、現在申告分離課税が適用されているFXも、元は雑所得から始まったという経緯がありますので、今後の税制改革を期待しながら、今は誠実に納税するしかありません。

不利な中にも、雑所得内での内部通算はできる、利益が安定している人は青色申告で節税できるなど節税に繋がることがありますので、賢く確定申告を行いましょう。