仮想通貨に限らず金融商品の取引を行うときには、いつ売るか?いつ買うか?
のタイミングがその後の利益に大きな影響をもたらします。
この見極めはとても重要であると同時に、難解です。そのため、多くの投資家は日々チャートとのにらみ合いを続けているわけですが、この時大きな助けとなるものが「移動平均線」です。
今回は、仮想通貨取引における「移動平均線」とは何かという疑問について、解説していきます。
目次
仮想通貨のテクニカル分析

仮想通貨のテクニカル分析を行うためのチャートをいくつか見てみると、細かなギザギザの折れ線グラフから、上下に線が出た四角いボックスが連なるもの、緩やかな曲線などが表示されています。
折れ線グラフ
単純に日々の通貨価格をとらえ線でつないだものが、折れ線グラフです。
毎日の価格を知るためにはシンプルでわかりやすいものです。
しかし、この折れ線グラフからは一時点の価格以外の情報は得ることができません。
ローソク足
上下に線が出た四角いボックスが連なっているものが、ローソク足と呼ばれるチャートです。上下に線がでた四角いボックスを“ローソク”と呼び、このひとつひとつのローソクが、多くの情報を発信しています。
まず、ボックスは赤と緑があります。赤は陰線と呼ばれ、その一定期間に価格が下がったことを意味します。
ボックスの上辺が始値で、そこから下がり、ボックスの底辺が終値です。緑のボックスは陽線です。その一定期間に価格が上がったことを意味します。
今度はボックスの底辺が始値、そこから上がって上辺が終値です。上下の線は、この一定期間の高値と安値を表しています。
ローソクが表す期間は1分、5分、1時間、1日など、自由に設定することができます。チャート上で、「1分足」「5分足」「1時間足」「日足」などという切り替え表示がありますが、これはここから来ています。
移動平均線

それでは、チャート上のなだらかな曲線は何を表しているのでしょうか?
このなだらかな曲線が「移動平均線」と呼ばれるものです。
相場の方向性、価格の動きや流れ、その傾向(トレンド)を知るために重要な役割を果たしています。代表的なテクニカルチャートのひとつで、ローソク足と合わせて分析することで、流れを知り、売買のタイミングを計ることができます。
移動平均線は、ある一定期間の価格の平均値を計算し、折れ線グラフとしています。
一定期間とは、何日間、あるいは何週間など自由に設定したものです。一定期間を5日とするとそのグラフは5日線、13週とすれば13週移動平均線などと呼ばれます。
その日を含めた過去の平均値を毎日計算しますので、平均値が変わる=移動していくことから、移動平均線と呼ばれています。
具体的な計算の仕方は、当日を含めた過去何日間の価格からの平均値を算出するというものです。
例えば、5日線とすると、当日終値100円、前日終値110円、2日前終値100円、3日前終値100円、4日前終値110円の平均で、104円となります。
(100+110+100+100+110)÷5=104
短期線と長期線

移動平均線は、その期間を自由に設定しますが、その間隔が短いものを短期線、長いものを長期線と呼びます。
グラフにしてみると、平均化する期間が短いほど、ローソク足の動きに近い上下のある曲線となります。
期間が長いほど、なだらかな曲線となっていきます。投資スタイルに合わせて、短期線と長期線をうまく使いわけることで、相場の流れや動きを知り、売買のタイミングを計ることに繋がります。
短期線の特徴
ローソク足と移動平均線の短期線を組み合わせることで、短い期間の細かな流れを知ることができます。
短期線は、ローソク足の動きに近く上下のある曲線となります。逆にいうと、ローソク足は、短期線の上に行き下に行きながら、結局は短期線に引き戻され、まとわりついているような動きをします。
また、ローソク足が短期線から離れたとき、今後もその流れが続く傾向であると、短期線のほうがローソク足に追いついていくような形になります。
長期線の特徴
ローソク足と移動平均線の長期線を組み合わせると、長期的な観点から大まかな流れを知ることができます。
長期線を見てみると、短期線とは異なり、ローソク足とは少し離れた位置関係で、ゆるやかな曲線となっているはずです。
例えば、短期線を見た段階で上下が激しく、またいつ下がるのか、またいつ上がるのかわからないという状況であった時、長期線がゆるやかな右上がりであれば、長期的な観点からは上昇傾向、良い動きであるということが判断できます。逆に、長期線がゆるやかな右下がりの曲線であるときには、価格の下降傾向であり、今後も下がっていく可能性を示唆しています。
移動平均線からタイミングをキャッチ

移動平均線を分析するメリットは、相場の流れを知ることだけではありません。
移動平均線の短期線と長期線の動きから、売り時、買い時というタイミングを知ることができます。
ゴールデンクロスは買い時
移動平均線の短期線が、移動平均線の長期線を越えたポイントを「ゴールデンクロス」と言います。
短期線と長期線を同時に表示させたとき、長期線の下にある短期線が、長期線に追いつき、クロスし、そのまま上に突き抜けることがあります。この状態が起きると、その価格は勢いづいてその後もどんどん上昇する可能性があるいわれています。
そのため、このクロスしたタイミングは「買い時」のサインといわれ、「ゴールデンクロス」とよばれています。
デッドクロスは売り時
反対に、移動平均線の短期線が、移動平均線の長期線を下回ったポイントを「デッドクロス」と呼びます。
長期線よりも上を進んでいた短期線が下向きに動き、長期線にクロスし、そのまま下方向へ突き抜けていくとき、このクロスしたポイントが「デッドクロス」です。この状態になると、今後大きな下降が続く予兆とされています。
短期線は、長期線よりも直近の動きをよく反映していることから、短期線が長期線を越えて下がっていくということは、これまでの流れが大きく変わり、今後下落方向へ動く可能性を示唆しています。そのため、このデッドクロスは「売り時」のサインとして考えられています。
様々な角度から分析を

移動平均線は、チャート分析をするために欠かせない指標の一つです。折れ線グラフやローソク足だけではわからない、相場の流れを知ることができます。
ただし、移動平均線はそのスパンや時間を自由に設定することができますし、ローソク足の期間も同じです。
そのため、チャート表示もそれぞれが異なる形で表示され、一つのテクニカル分析だけに頼ることは危険です。
万能なテクニカル分析はなく、どれも一長一短があります。複数のテクニカル分析を併用し、様々な方向から相場の流れや売買のタイミングを判断することが必要です。
まとめ

仮想通貨取引においても、テクニカル分析を行う人が増えてきました。テクニカル分析を行う上で、大変役立つものが「移動平均線」です。
移動平均線は、ある一定期間の通貨価格の平均値を折れ線グラフとしたもので、その一定期間は自由に定めることができます。移動平均線をチャート上に表示させることで、その通貨の相場の流れや動き、傾向を知ることができます。
移動平均線が示す一定期間によって、直近の傾向を示す短期線、大まかな流れを示す長期線を表示することができ、両者の動きにより、急激な流れの変化や今後の動向を予測することができます。
日々の通貨価格を示すローソク足からテクニカル分析を行うためには、移動平均線はなくてはならないものと言えるでしょう。複数のテクニカル分析により、様々な角度から判断しましょう。